フィンランド語に初めて触れたとき、どこか懐かしく、おもちゃ箱をひっくり返したような愛嬌を感じる人は少なくありません。代表的な挨拶である「モイ(こんにちは)」や「キートス(ありがとう)」の響きが示す通り、この言語には日本語話者の耳に心地よく響く明確な言語的理由が存在します。
最大の要因は、音節構造における母音の比率の高さです。フィンランド語は子音だけで発音されることが少なく、子音と母音がセットになった「開音節」が基本となります。これは日本語の「あ・い・う・え・お」をベースとした発音構造と酷似しており、子音が連続する英語やドイツ語に比べて、角が取れたまろやかな印象を与えます。
さらに、「タッス(Tassu=肉球)」や「ピック(Pikku=小さい)」のように、日本語の促音(っ)や長音(ー)に相当する重子音・長母音が豊富に含まれている点も見逃せません。音が軽快に弾むリズムを生み出すため、口にするだけでも可愛らしい響きが生まれるのです。