フランス代表の歴史を語る上で避けて通れないのが、圧倒的な個の才能がもたらす栄光と危うさです。
ジダン ワールドカップ決勝 退場の真相として語り継がれる2006年ドイツ大会決勝の延長後半5分。主将ジダンがイタリア代表DFマテラッツィの胸元に強烈な頭突きを食らわせ、一発退場となった場面は世界に衝撃を与えました。後にジダン自身の手記やインタビューで明かされた通り、度重なるユニフォームの引っ張り合いの中で発せられた家族(母と姉)への侮辱的な挑発文句が引き金でした。キャリア最後の試合で感情を爆発させたこの出来事は、孤高の天才が背負い続けた極限の重圧と、フットボールにおける心理的バウンダリー(境界線)の崩壊を象徴しています。
その偉大なるカリスマの系譜を継いだのがキリアン・エムバペです。エムバペ フランス代表 ワールドカップ成績はすでに歴代屈指の領域に達しています。2018年大会で4得点、2022年カタール大会では8得点を挙げ大会得点王(ゴールデンブーツ)を獲得。ワールドカップ通算得点数はわずか2大会(14試合)で12得点に到達しました。特にカタール決勝でのハットトリックは、1966年イングランド大会のジェフ・ハースト以来56年ぶり史上2人目の大記録です。
圧倒的なスプリント力と決定力でチームを牽引する一方、強烈な個性ゆえの扱いにくさやメディアとの緊張関係など、ジダンとは異なる現代的な「個のマネジメント」がチームの成否を分ける重要要素となっています。