孵化時のスズメのヒナは体重わずか約2〜3グラム、羽毛も生えておらず目も開いていません。この無力なヒナが、わずか約14〜16日間の巣立ち期間で成鳥とほぼ同じ体重(約20〜24グラム)まで一気に成長します。この驚異的な発育スピードを支えているのが、親鳥が運ぶ幼虫に含まれる豊富な動物性たんぱく質とアミノ酸です。
鳥類の胃には「砂嚢(さのう)」と呼ばれる硬い筋胃があり、成鳥は小石などを飲み込んで硬い穀物や種子をすり潰して消化します。しかし、孵化直後のヒナは砂嚢が未完成で消化酵素の分泌も不十分なため、硬い米粒や種子を与えられると消化不良を起こして死に至る危険があります。
その点、アオムシやシャクトリムシといった鱗翅目の幼虫は、外皮が柔らかく水分含有量が70〜80%と高いため、水飲み場へ行けないヒナにとって理想的な水分補給源にもなります。親鳥は早朝から日没まで、1時間に10回〜20回以上も巣と餌場を往復し、幼虫をヒナの喉の奥深くへと押し込み続けます。