このしだれ桜は、かつて高さ約13メートル、枝張り約13メートルを誇り、満開時には「まるで空から降る花の滝のようだ」と称賛されてきました。しかし、樹齢340年を超える長年の風雪や近年の猛暑、台風による枝折れの影響を受け、主幹の一部空洞化や枝枯れなど深刻な樹勢の低下に見舞われてきました。
現在、現地では樹木医と地元保存会が中心となり、土壌改良や根系の保護柵設置、余計な負荷を減らす剪定といった計画的な樹勢回復作業が継続されています。かつてのような圧倒的なボリューム感とは異なるものの、懸命に若枝を伸ばし、淡いピンクの花を咲かせる古木の姿は、生命の尊厳そのものを感じさせます。
また、傍らには原木のDNAを受け継ぐ後継樹(ひこばえや接ぎ木)も順調に育っており、次世代へと命を繋ぐ貴重な歴史の転換点に立ち会うことができます。訪れる際は根元を踏み荒らさないよう木道を歩き、静かにエールを送る姿勢が求められます。