これほどの深度に総延長40.7kmもの地下鉄を建設すれば、通常なら天文学的な工費がかかり、プロジェクトは破綻していたはずです。この難題を覆した技術的ブレイクスルーが、大江戸線 リニアモーター 仕組みと小型トンネル設計の融合でした。
大江戸線の車両(12-000形・12-600形)は、一般的な地下鉄車両と比べて一回り小さく作られています。車体高は通常より約60cm低い約3.1m、車体幅も約30cmスリムな約2.5mです。これを可能にしたのが車輪を回す回転式モーターではなく、車体側の電磁石と線路中央に敷かれた板(リアクションプレート)の間で発生する磁気力によって推進するリニアインダクションモーターでした。
動力機器の薄型化によって車両の床面高を劇的に下げることに成功し、結果として大江戸線 シールドトンネル 断面の内径は通常の約7mから約5.3mへと大幅に縮小されました。トンネルの断面積は約半分になり、掘削に伴う土砂排出量と工費を約3割も削減できたのです。
さらにリニアモーター方式は急勾配や急カーブに極めて強いという特性を持ちます。鉄車輪の摩擦限界に縛られないため、通常の地下鉄では登れない50パーミル(1000m進むごとに50m登る)の急坂を駆け上がり、半径100mという急曲線を難なく曲がることができます。道路の下を蛇行しながら高低差を潜り抜ける大江戸線の断面形状は、リニア技術なしには1メートルたりとも実現できませんでした。
このアクロバティックな立体設計の頂点にあるのが、起点であり環状の終点でもある都庁前駅です。都庁前駅 立体構造 断面図を見ると、光が丘方面からの線路と環状部の線路が複雑に絡み合い、駅の手前で上下左右に交差しながら2面4線のホームへと滑り込む「6の字運転」の幾何学的な立体交差が確認できます。