日本の大学を取り巻く環境は、かつてないほど厳しい。国の運営費交付金は削減され続け、各大学は独自に資金を稼ぎ出す必要に迫られている。ここで脚光を浴びたのが、民間企業や官公庁、海外の研究機関からトップ人材を呼び込む手法だ。スタートアップの創業者や、最先端のAI技術を持つ技術者が、週に数日だけ教壇に立ち、あるいは共同研究をリードする。彼らを迎え入れるための最も柔軟な受け皿が、この特任制度なのである。
「もはや従来の公募プロセスでは、変化の速い産業界のスピード感についていけない」と、都内私立大学の経営幹部は本音を漏らす。特任教授は、硬直化したアカデミアに風穴を開ける「外圧」として機能している側面が大きい。