現在、私たちが飲食店や小売店で目にするうなぎの99%以上は養殖物です。養殖技術が飛躍的に進化した現在、養殖うなぎの旬には天然物とは異なる独自のサイクルが存在します。
日本の主なうなぎの産地である鹿児島県、愛知県(一色町)、宮崎県、静岡県(浜名湖)などでは、最先端のビニールハウス型養殖池で水温や水質、餌の配合が厳密にコントロールされています。この環境下で育てられる国産うなぎの食べ頃には、大きく分けて2つのピークがあります。
1つ目は、夏の需要期に合わせて約半年から8ヶ月という驚異的なスピードで育てられる「新仔(しんこ)うなぎ」です。初夏から夏(6月〜8月)に出荷される新仔は、皮が非常に薄く、身がふっくらとしていて骨も柔らかいため、口当たりの良さが際立ちます。
2つ目は、1年以上じっくりと育てられた「ひね仔(ひねこ)」と呼ばれる個体で、秋から冬にかけて成熟します。こちらは脂がしっかりと乗り、身の弾力と力強い旨味を堪能できます。養殖技術の発展によって「夏の新仔・冬のひね仔」という異なる美味しさを一年中楽しめるようになった点は、現代の食文化における大きな恩恵といえます。