甲子園球場の大歓声に包まれながらマウンドに立つ背番号29の姿は、いまやトラの象徴だ。イニングを重ねるごとに冴え渡る投球に、スタンドからは溜息と拍手が交互に漏れる。彼が投げている時間の甲子園には、独特の緊張感と高揚感が同居している。
球数制限や投手分業制が進む現代野球において、彼は「投げられるなら最後まで投げ切りたい」という先発投手としての強い責任感を覗かせる。もちろん無理は禁物だが、ゲームをコントロールし、中継ぎ陣を休ませるような省エネ投球ができる点も彼の大きな進化だ。ファンは単なる勝ち星以上のドラマを彼に重ね合わせている。