二人の行動を突き動かしていたエンジンは、時代を先取りしすぎた革新的な思想体系でした。ブルーノの代名詞である「無限宇宙論」は、コペルニクスの地動説を一歩推し進め、「太陽系すら無数にある星々の一つに過ぎず、宇宙には中心も境界もない」とする驚天動地のヴィジョンでした。これは神が地球を中心に据えて万物を創造したとする中世キリスト教の世界観を根底から解体する思想です。
対する信長の革新性も、徹底した合理主義に根ざしています。「楽市楽座」による座(特権ギルド)の解体、身分にとらわれない能力本位の人材登用、関所の撤廃による自由な物流の実現。信長は「神仏の加護」といった不可視の権威に頼ることを嫌い、自らの手で現実的な経済基盤と軍事機構を構築しました。
地球を絶対視しないブルーノの複眼的な視線と、伝統的権威に縛られずグローバルな南蛮品や新兵器(火縄銃)を即座に戦術へ組み込んだ信長の柔軟性。二人はいずれも、中世的なドグマの檻から自らの知性を解放した先駆者でした。