日本の主要都市の飲食店が外国人観光客向けの価格設定やメニュー構成へと急傾斜するなか、この店が頑なまでに守り続けているのは「地元客への絶対的な誠実さ」だ。もちろん海外からの旅行者も歓迎されるが、店内を支配しているのは長年通い詰める常連客たちの笑顔と、日常の喧騒を忘れて酒を酌み交わす熱気である。
「観光地価格」という言葉が定着して久しい現代において、地元の人々が日常使いできる適正価格と最高品質を維持し続ける姿勢は、もはや奇跡に近い。一見客も常連客も等しく最高峰の鮮魚でもてなすフェアなスタンスこそが、時代を超えて愛され続ける最大の理由と言えるだろう。