水道橋博士という男を定義づける最大の要素は、その異常なまでの「記録魔」ぶりだろう。毎日の出来事、出会った人間、読んだ本、観た映画、果ては体調の波に至るまで、克明に記録し続ける日記執筆は彼のライフワークである。
ブログやnote、各種Webメディアで連載されるその文章は、私小説的でありながら一級の時代観察記としても機能している。心身の不調を乗り越えて以降、彼の文章にはどこか吹っ切れたような透明感と、より鋭い観察眼が同居するようになった。読者は彼の日常を追うことで、同時に2020年代半ばの日本社会が抱える歪みや熱狂を追体験することになる。