学校教育の現場における金次郎の扱いもまた、大きな変容を遂げている。文部科学省の学習指導要領改訂に伴い、道徳の教科書における二宮尊徳(金次郎の本名)の記述は、「苦学する少年」という一面的な描写から、彼が成人後に成し遂げた具体的な業績へと軸足を移した。
現代の歴史教育において教えられる二宮尊徳は、薪を背負う子供ではない。破綻した農村を独自の経営手法で再生させた「凄腕の財政再建コンサルタント」であり、綿密なデータ分析に基づいて地域経済を立て直した実務家としての姿だ。
「勤勉」という概念が「無理な労働」と混同されがちな現代において、科学的・計画的に成果を出した彼の足跡は、より現実的で実践的な学びとして教室へ戻りつつある。