竹林亭の真骨頂は、素材の輪郭を際立たせる丁寧な仕込みにある。日本料理の命とも言える昆布と鰹節の合わせ出汁は、雑味が一切なく、口に含んだ瞬間に豊かな旨味が広がる。派手な演出に頼ることはない。焼き魚の皮目の香ばしさ、炊き合わせの野菜に染み入る滋味。その一つひとつに料理人の実直な息遣いが宿る。
福島県が誇る四季折々の農産物や近海の海の幸が、確かな技術によって端正な一皿へと昇華される。盆地特有の寒暖差が育む瑞々しい野菜や、選び抜かれた地酒との相性は言うまでもない。器の温度から盛り付けの余白に至るまで、細部への配慮が心地よい緊張感と安心感を同時に運んでくれる。