米国現地における二人の比較論争は、感情論からより定量的な分析へと深化しています。『The Athletic』や『ESPN』などの大手スポーツメディア、そして現地ファンの間では、どのような評価軸が形成されているのでしょうか。
現地ベテラン記者による署名記事では、以下のような論調が支配的となっています。
「ベーブ・ルースは野球というスポーツをエンターテインメントの頂点へと押し上げた偉大な文化アイコンである。しかし、純粋なアスリートとしての能力、そして対戦相手のレベルを考慮した場合、ショウヘイ・オオタニが毎晩演じているパフォーマンスは人類史上最高のアスレチック・アチーブメント(運動競技の達成)である」
米国のRedditやX(旧Twitter)を中心とする熱心なファンのコミュニティでも、白熱した議論が続いています。
「ルースの時代に大谷がタイムスリップしたら、シーズン100本塁打を放ち、防御率0点台で全勝するだろう」といった極端な意見が見られる一方で、「異なる時代を単純比較することはナンセンスだ。ルースが野球のパラダイムを変えたように、大谷は『近代スポーツにおける分業の限界』という概念そのものを破壊した」という冷静かつ本質的な指摘が多くの支持を集めています。
全米野球記者協会(BBWAA)による大谷翔平のMVP評価理由を検証しても、その視線は明確です。かつては「投打のどちらか一方で突出したタイトルを獲得しなければ真の価値は認められない」とする保守的な記者も存在しました。しかし、守備に就かない指名打者(DH)専任でありながら、打撃と圧倒的な走塁(50-50達成)のみでWAR(Wins Above Replacement:勝利寄与度)の頂点に立った事実が、記者の固定観念を完全に打破しました。投打双方でプレーする大谷は、もはや過去の遺産である「ルースとの比較」という物差しすら飛び越え、彼自身の絶対的なスケールで評価されています。