埼玉県比企郡小川町は、いまや「有機農業の町」として世界的にその名を知られている。しかし、最初から町全体が協力的だったわけではない。金子氏らは長年にわたり、地域住民や地元農家との対話を重ね、有機栽培で作られた農作物を地域内で消費する「提携」の仕組みを築き上げた。
かつて金子氏が設立に関わり、共同代表などを務めた「全国有機農業推進協議会」の活動を通じ、この理念は全国へと波及した。農家と消費者があたたかな顔の見える関係を結び、価格の変動に左右されない安定した供給網を形成する。小川町で結実した提携モデルは、単なる食材の売買にとどまらず、地域コミュニティの再生やローカル経済の自立を支える力強い骨組みとなっている。