ドラマ放送時およびその後のレビューサイト(Filmarks等)やSNSにおける評価を分析すると、視聴者が最も衝撃を受けたのは「善悪の二元論で割り切れない人間の業の描写」でした。
実録ドラマにおいて凶悪犯を演じる場合、過度にモンスター化するか、あるいは過剰に同情を引く美談に偏るリスクが常に伴います。しかし、本作の寺島しのぶは、保身のために平然と嘘をつく醜悪さと、子どもたちを不憫に思う母親としての本能を一切濁さずに同居させました。
脇を固めるキャスト陣の重厚さも作品の質を大きく引き上げました。福田和子を追い詰める刑事役や、彼女の正体を知らぬまま惹かれていく周囲の人々を演じた実力派俳優たちの受動的なリアクションが、寺島しのぶの「能動的な怪演」をより一層際立たせる構造になっていたのです。
ネット上の感想では「逃げ切ってほしいと思わせてしまうほどの生命力に恐怖を感じた」「犯罪者を肯定する気は毛頭ないが、生きることへの執念に圧倒された」といった声が目立ちました。これは、寺島しのぶが福田和子の持つ「底知れぬ生命力(バイタリティ)」の芯を捉えていた証拠と言えます。