インターネット上の掲示板やSNSでは、「昔のドラマは視聴率が高かったから面白く、最近の夏ドラマは質が落ちた」という言説が散見されます。しかし、この主張はメディア視聴環境の劇的な変化を無視した誤解と言わざるを得ません。
かつてのように世帯視聴率が20%を超えることが当たり前だった1990年代から2000年代初頭とは異なり、2020年代以降はリアルタイム視聴からTVerでの見逃し配信や録画再生(タイムシフト視聴)、各種VODへのシフトが完了しました。実際に、2023年夏クールの『VIVANT』や2024〜2025年の話題作は、世帯視聴率の数値以上に「コア視聴率(13〜49歳男女)」や「TVer総再生回数(数千万回超)」で圧倒的な記録を打ち立てています。
また、最終回ネタバレ感想をめぐる議論でも、リアルタイム放送時の賛否両論が、配信後の全話一気見によって「伏線回収が見事な名作」へと評価が180度覆る現象が頻発しています。視聴率という単一の指標だけで作品の優劣を論じる時代は終わりを告げ、「7月期ドラマ満足度ランキング」や熱狂度、アーカイブ価値こそが真の評価軸となっています。