資格指導校のパンフレットなどでは、社労士試験の勉強時間目安として「800〜1,000時間」と記載されるのが一般的です。1日2〜3時間の学習を1年間継続して到達する水準ですが、受験生の現場からは「その時間で受かるのは要領が極めて良い上位層だけ」という声が上がっています。
SNSや合格体験記、大手掲示板の書き込みを追うと、リアルな現場では1,200時間から1,500時間、年数にして2年〜3年を費やして合格に辿り着くケースが過半を占めています。長期化する受験生たちの手記には、共通して次のような痛切な告白が綴られています。
「択一式で55点を取り、会場の誰もが合格を確信していたのに、選択式の労一で誰も知らない統計用語が出て1点に散った。あの瞬間の手の震えと虚無感は一生忘れられない」
「家族との休日をすべて犠牲にして1年間で1,000時間勉強した。だが、選択式でわずか1問、マークを迷って書き直したせいで足切りに遭った。自分の努力を完全に否定されたように感じた」
心理学で言われる「サンクコスト効果(投資した時間や費用への執着)」が最も働きやすいのがこの試験です。あと1問正解していれば受かっていたという「惜敗」を経験した受験生ほど、「もう1年やれば必ず受かる」という心理ループに陥ります。しかし翌年受けてみると、今度は別の科目で足切りを食らい、気づけば5年、6年と受験生活から抜け出せなくなるベテラン受験生(いわゆる社労士多年度受験生)が後を絶ちません。社労士が「精神的に無理ゲー」と称される根源は、実力と合否の相関関係を歪めてしまう選択式の運要素にあるのです。