言葉の浸透とともに、その概念への正しい理解も求められている。アロマンティック(Aromanticism)とは、他者に対して恋愛感情を抱かない指向を指す。一方で、他者に対して性的な惹かれを経験しないアセクシュアル(Asexuality)としばしば混同されがちだが、このふたつは必ずしもイコールではない。
恋愛感情も性的欲求も持たない人もいれば、性的指向はあるものの恋愛感情は抱かない人、あるいはその逆も存在する。人間の感情は、既存の単純なラベルに収まりきるほど画一的ではない。
ドラマ『ア ロマンティック』の真骨頂は、そうしたグラデーションを記号化せず、生身の人間の揺らぎとして描いた点にある。恋をしないことは「欠落」でも「冷たさ」でもない。ただひとつの自然なあり方であるというメッセージが、押しつけがましさのない自然な台詞の端々から伝わってくる。