「あざとい」という言葉のニュアンスが、ネガティブから究極の褒め言葉へと劇的に変化した時期と、彼女が演じたキツネの登場は完全に見合っている。嫉妬混じりの拗ねた表情、どん兵衛を食べる相手をじっと見つめる上目遣い、耳や尾っぽの動きに合わせた細やかな仕草。すべてが計算し尽くされていながら、嫌味っぽさが一切ない。
演出陣と吉岡里帆が作り上げたあのキャラクターは、日本のエンタメ史における「あざと可愛さ」の黄金比を確立したと言っても過言ではない。天然さと打算の絶妙な境界線上を泳ぐような演技。視聴者は「踊らされている」と知りつつも、その心地よい罠に喜んで飛び込んだのだ。