残る3つの城郭も、それぞれ独自の工夫と風格で歴史ファンを魅了してやまない。木曽川の断崖上にそびえる犬山城は、日本最古級の天守構造を保持しており、最上階の回縁から見下ろす木曽川の絶景は圧巻の一言だ。彦根城は、複雑に組み合わされた切妻破風や唐破風の装飾美とともに、実戦を想定した落とし門や隠し部屋など、実利を兼ね備えた厳密な構造を残す。
宍道湖畔に佇む松江城は、実用性を追求した「包板(つつみいた)」技法による柱の補強など、厳しい自然環境と実戦に耐え抜く知恵が詰まった構造が評価され、2015年に国宝へと指定された。公益財団法人日本城郭協会が推進する名城探訪においても、これら5城は常に特別な存在であり、何世代にもわたって継承されてきた日本の木造建築技術の至宝と言える。