物語の象徴であり、もう一人の主人公とも言える古いアパートメント。その佇まいを再現するため、ロケーションハンティングには異例の半年以上が費やされた。全国各地の廃墟や歴史的建造物を探索した結果、北陸地方の旧鉱山町に残る、時が止まったかのような木造建築がメインロケ地として選ばれたという。
潮風と山からの冷気が吹きつけるその場所は、カメラが回っていない時間ですら独特の重苦しい空気を纏っている。近隣住民によれば、深夜まで明かりが灯り、スタッフが徹底的に古びた外観を作り込んでいた様子が目撃されている。劇中で描かれる「不穏な静寂」と「静かな狂気」は、この奇跡的なロケ地選びによって完璧なものとなった。