「毒親」という言葉が定着して久しいが、近年の相談傾向には明らかな変化が見られる。かつては若年層からのSOSが中心だったが、2026年現在の主役は30代から50代の中高年層だ。自身が親になり自活する中で「実親の異常性」に改めて気づくケースや、高齢化した親からの執拗な金銭要求・介護の押し付けに耐えかねて限界を迎えるパターンが急増している。
SNSの普及や個人主義の浸透により、「逃げてもいい」という価値観が社会的に共有され始めたことも大きい。家制度の残影が色濃かった時代のような「耐え忍ぶことが美徳」とする風潮は急速に薄れつつある。個人の心身の安全を最優先にし、害となる人間関係からは距離を置くという選択は、もはや倫理的な悪ではなく、当然の権利として認識され始めているのだ。