集合住宅における階下への騒音トラブルにおいて、椅子を引く際の固体伝播音は非常に大きな比重を占めます。建物の構造にもよりますが、フローリング直置きの木製椅子を引いた際の摩擦・打撃音は約65〜70dB(セミの鳴き声・掃除機の音に匹敵)に達することがあります。
これを日常生活で気にならない40dB以下(図書館内の静けさ)まで低減させるには、カバー底面の素材設計が決定打となります。ここで重要なのが「フェルトの厚みと密度」です。
シリコン単体で床に接するキャップは、床面へのグリップ力(滑り止め)が高すぎるため、椅子を動かす際に「キュッ」と引っかかり、転倒やシリコン自体の引きちぎれを招きます。逆に、硬質プラスチック底は滑りは良いものの打撃音を吸収できません。防音性とスムーズな滑走性を両立させるには、「高密度圧縮ウールフェルト」を底部に配置し、側面を柔軟な「伸縮シリコンエラストマー」で包み込む二層ハイブリッド構造が力学的に最も優れています。