この作品をめぐっては、長年にわたり不気味な都市伝説がまことしやかに囁かれてきました。「いじめを苦に自ら命を絶った実在の女子中学生が遺したデジタル遺書である」「作者はすでに失踪・死亡している」「少女の声を逆再生すると本物の呪詛が聞こえる」といった噂です。
ネット上に残されたログやデジタルアーカイブの追跡調査により、これらの噂はすべて事実無根の作り話であることが確認されています。真相は、2000年代初頭の国産アングラネットカルチャーにおいて活動していた個人クリエイターが、独自の世界観と内省的な鬱屈を表現するために構築した前衛的なインタラクティブ・ネットアートでした。
当時、個人ホームページ全盛期にあって、Adobe(旧Macromedia)Flashは若手表現者の強力な武器でした。かわいいイラストの裏に死とエロス、精神的葛藤を潜ませる「病みかわいい」や「メンヘラアート」の原型と呼べる潮流が確かに存在しており、本作はその過激な頂点に位置する習作だったのです。文脈を切り離された断片だけが掲示板でセンセーショナルに拡散された結果、不気味な呪いのサイトという虚構のヴェールを纏わされるに至りました。