冨岡義勇という人物の根底には、心理学でいう「サバイバーズ・ギルト(大惨事から奇跡的に生き残った者が抱く、強烈な罪悪感)」が深く根付いていました。
少年時代、鬼から自分を庇って命を落とした姉・蔦子、そして最終選別で自分を救い多くの候補生を守って命を散らした親友・錆兎。「本当に生き残るべきだったのは自分ではない」という自己否定が、彼を他者と距離を置く孤高の剣士へと変貌させていました。胡蝶しのぶから放たれた「そんなだからみんなに嫌われるんですよ」という言葉も、義勇の不器用で閉鎖的な心理的防壁を象徴するエピソードです。
しかし、炭治郎から「錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか」と投げかけられたことで、義勇の心境は激変します。自らの命を粗末に扱うのではなく、「託された命を全うして生き抜くこと」こそが真の責務であると悟った義勇は、無惨戦においても最後まで生きる意志を捨てずに戦い抜きました。