精神的な価値とは別に、家宝が経済的な資産としてどれほどの評価を受けるかは極めて切実な問題です。特に旧家や蔵から見つかる刀剣・茶道具の価値は、作者(銘)、制作年代、伝来(誰が所持していたかを示す箱書きや極め札の有無)、そして保存状態によって天地の開きが生じます。
例えば刀剣の場合、国宝級の古刀(正宗や村正など)は別格として、江戸期の新刀や幕末の古刀であっても、保存刀剣や重要刀剣の指定鑑定書があれば数百万円単位の評価が付くことがあります。しかし、刃こぼれや錆がひどいもの、あるいは無銘の量産品(数打ち物)であれば、数万円から十数万円程度の査定にとどまるケースも珍しくありません。茶道具についても同様で、裏千家や表千家の歴代家元による「花押(かおう)」や共箱が揃っていれば評価は跳ね上がりますが、箱を紛失した単品の茶碗では市場価値が著しく下落します。
信頼できる家宝の鑑定方法を選択することは、資産を守る上で最初の関門となります。蔵の整理などで正体不明の美術品が出てきた場合、不用意にリサイクルショップや飛び込みの訪問買取業者に渡してはなりません。歴史的遺産を正当に見極めるための代表的な品目別データと特徴を以下の表にまとめました。
鑑定を依頼する際は、東京美術倶楽部をはじめとする老舗の美術商ネットワークに所属している鑑定士や、百貨店の美術部、あるいは刀剣であれば公益財団法人日本美術刀剣保存協会(日刀保)の指定審査ルートを利用するのが鉄則です。専門機関を通すことで、後述する相続時の税務申告でも通用する公的な裏付けが得られます。