ファンの間で今なお激論が交わされるのが、小田急線の踏切ですれ違うラストシーンの解釈です。桜の花びらが舞う中、通り過ぎる電車が視界を遮り、電車が走り去ったあとに明里の姿はもうありませんでした。
一見すると「再会できなかった悲劇的バッドエンド」として受け取られがちですが、新海監督の演出意図と楽曲の展開を照らし合わせると、結末の真相は全く異なります。
明里がその場にいなかったことを確認した貴樹は、絶望に沈むのではなく、ふっと微かな笑みを浮かべて背を向け、前を向いて歩き出します。この瞬間、主題歌のサビが最高潮を迎え、貴樹の心に長年澱のように溜まっていた「過去の呪縛」が昇華されます。結末の踏切は、失恋の確定であると同時に、貴樹がようやく明里のいない現実を受け入れ、自分の人生を歩き出すための解放の儀式だったのです。