「これだけのマグマがあるなら、明日にも大噴火が起きるのか」という問いに対し、統計学と地球物理学はどのような答えを用意しているのでしょうか。議論の起点となるのが、神戸大学名誉教授の巽好幸氏らが過去のカルデラ噴火周期から算出した破局噴火の発生確率です。
研究グループの推計によれば、日本列島内で破局噴火が発生する確率は「今後100年間で約1%」とされています。「たった1%か」と捉えるか、「100年に1回のリスク」と受け止めるかで評価は二分されます。ちなみに、この1%という数値は、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が起きる直前の同地域における今後30年発生確率(0.4〜8%)と同等クラスのオーダーです。決して単なる都市伝説として笑い飛ばせる数値ではありません。
では、まことしやかに語られる破局噴火日本壊滅の噂や、公的・民間研究でシミュレーションされた鬼界カルデラ被害想定の中身はどのようなものなのでしょうか。過去のデータと主要火山との比較表を通して、その破壊的規模感を可視化します。
もし仮に、アカホヤ噴火と同規模の超巨大噴火が現代の日本で発生した場合の最悪シナリオでは、数時間以内に九州の大部分が約数百度に及ぶ火砕流で覆われます。さらに、数日以内に偏西風に乗った火山灰が首都圏を含む日本全土を覆い、降り積もる灰の重みで家屋倒壊・配電網破壊・浄水場機能麻痺・電子機器や通信機器の全停止が連鎖。土木学会などの災害予測モデルに照合すると、救援ルートの遮断と食料・電力補給停止によって数千万〜最大1億人が生存危機に曝されるという試算が導き出されます。
これこそが「日本壊滅シナリオ」の実態であり、地質学者たちが警鐘を鳴らす根拠です。しかし、重要なのは「その規模の爆発が予兆なく明日訪れるのか」というタイムスケールの問題です。