日本の梨が世界中で高く評価されている最大の理由は、その圧倒的な水分量と繊細な食感にある。だが、その特徴こそが今回の危機において致命的な弱点となった。猛烈な熱波によって果実内部の水分が文字通り「沸騰」に近い状態となり、細胞が破壊されてしまうのだ。外見は問題なさそうに見えても、切ってみると中は茶色く変色しているケースが多発している。
この現象は「みつ症」や「内部褐変」と呼ばれるが、今年の発生率は例年の比ではない。検査機器を導入していない小規模農家では、出荷後にクレームが入ることを恐れ、怪しい果実をすべて廃棄せざるを得ない状況に追い込まれている。