そもそも、なぜ羽咋市は宇宙をテーマにした町おこしに舵を切ったのでしょうか。その根底には、江戸時代以前からこの地域に伝わる「そうはち山伝説」をはじめとする民俗学的背景があります。
羽咋市周辺の古文書や寺社縁起には、古くから「空飛ぶ円盤状の光る物体(そうはち=シンバルのような仏具の形をした鍋状の器)」が山頂付近を飛行したという記述が散見されます。この伝承に着目した市は、昭和末期の1980年代後半から「UFOで町おこし」を企画。1990年には「国際未確認飛行物体(UFO)シンポジウム」を開催し、国内外の研究者やジャーナリストが羽咋に集結しました。
オカルト的な珍奇さで終わらせず、未知への知的好奇心を科学教育へと昇華させた結果として、1996年7月に羽咋市宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」が開館。UFOというポップなフックと、最先端の宇宙工学という硬派なリアリズムが同居する唯一無二のアイデンティティが確立されました。