当館の最大の建築的見どころは、本館に隣接する新館「地中の宝石箱(地中館)」です。建築家・安藤忠雄氏の設計によるこの施設は、天王山の自然景観や既存の洋館建築を損なわないよう、建物の大半を地下に埋め込む円形構造を採用しています。緑に覆われた階段通路を降りていくアプローチは、まるで別世界へ潜り込むような静謐な高揚感をもたらします。
コンクリート打ち放しの冷徹なマテリアルと、天窓から差し込む計算し尽くされた自然光が交差する地下展示室。その中央に飾られたモネの晩年作『睡蓮』は、光と影の空間設計によって絵画本来の深遠な色彩を際立たせています。2008年には同じく安藤氏の設計による「夢の箱(山手館)」も増設され、近代建築と現代建築が織りなす空間対比を同時に堪能できる贅沢な構造となっています。
約5,500坪におよぶ広大な庭園には、ヘンリー・ムーアやバリー・フラナガンらによる屋外彫刻が点在し、池の周囲を巡る回遊式庭園として整備されています。ここで注意したいのが館内および庭園での写真撮影ルールです。美術館本館や地中館の内部展示室は、著作権保護および鑑賞環境維持のため「全面撮影禁止」となっています。一方で、四季折々の草花が咲き誇る屋外庭園エリアは写真撮影が可能です。特に晩秋の「紅葉の見頃(例年11月中旬〜12月上旬)」には、モミジの赤と重厚な石造建築が織りなすフォトジェニックな景観を求めて多くの愛好家が訪れます。