『メイちゃんの執事』の根幹を支えていたのは、宮城理子による少女漫画の世界観を破綻なく実写へと昇華させた、水嶋ヒロの圧倒的なリアリティと役作りでした。物語の舞台となる「私立聖ルチア女学園」は、超富裕層のお嬢様たちが通い、生徒一人ひとりに専属の執事が付き従うという、一歩間違えればリアリティを失いかねないファンタジー設定です。
その中心に君臨したのが、公式ランクで最高峰とされる「Sランク執事」の柴田理人でした。水嶋ヒロはスイス育ちの帰国子女という自身のバックグラウンドを活かし、西洋的なエチケット、姿勢の美しさ、シルバーの扱い方、特注タキシードの着こなしに至るまで完璧に体得。単に外見を整えるだけでなく、メイ(榮倉奈々)に向ける慈愛に満ちた眼差しと、執事としての冷徹なプロフェッショナリズムを絶妙な塩梅で両立させました。
当時の制作関係者の証言によると、水嶋はセリフの抑揚だけでなく、立ち止まる際の間(ま)や指先の角度まで徹底的に研究を重ねて現場に持ち込んでいたといいます。「お嬢様」と呼びかける低音のボイス、有事の際に見せる俊敏なアクション、そしてメイの成長を静かに見守る抑制の効いた演技。この多層的な魅力こそが、単なるイケメン枠を超えた「柴田理人」というアイコンを完成させた最大の要因です。