約9兆4600億キロメートルという数値を提示されても、地球上での生活を基準とする人間の脳は、その実態を容易に処理できません。そこで、人間が利用可能な様々な交通手段で一光年を移動した場合の所要時間を試算し、そのスケールを浮き彫りにしてみます。
まず、人間が標準的なペース(時速4キロメートル)で休まず歩き続けた場合、一光年徒歩でかかる途方もない年数は約2億7000万年(269,820,000年)に達します。これは地球史において恐竜が誕生した三畳紀後期から現代に至るまでの時間に匹敵し、生物の進化が一巡するほどの桁外れなスケールです。
次に、日本の大動脈を結ぶ新幹線(時速300km)をノンストップで走らせた場合、一光年新幹線で行く場合の移動時間は約315億3600万時間、年数にして約360万年を費やす計算になります。人類の祖先である猿人(アウストラロピテクス)が地球上を歩いていた時代から走り続けて、ようやく今一光年の終着点に届く計算です。
では、人類がこれまでに生み出した最高峰の宇宙航行機ではどうでしょうか。一光年ロケットでかかる年数の詳細まとめとして、太陽系を脱出した歴史的探査機「ボイジャー1号」を例に取ります。ボイジャー1号は太陽に対する脱出速度として時速約6万1200キロメートル(秒速約17km)で宇宙空間を航行していますが、この速度をもってしても一光年の距離を突破するには約1万7700年という膨大な時間を要します。さらに初期のアポロ宇宙船(時速約4万キロメートル)の巡航速度であれば、到達までに約2万7000年を要するのが冷酷な現実です。