ネット上で「日本の報復」と表現される現象の発端は、2015年に起きたジャカルタ・バンドン高速鉄道の受注逆転劇に遡ります。当時、国際協力機構(JICA)が主導し、数年もの歳月と巨額の調査費用を投じて綿密なフィジビリティスタディ(実現可能性調査)を完了させていた日本の新幹線方式に対し、突如として割り込んできたのが中国でした。
当時のジョコ前大統領による高速鉄道の政治判断は、「インドネシア政府の財政負担(国費投入)ゼロ」「政府債務保証なし」を提示した中国案への乗り換えでした。日本側が提供した緻密な調査データを中国側が無断利用した疑いも含め、日本の外交・インフラ輸出関係者に深い爪痕を残したことは否定できません。
しかし、開業後に判明したのは当初計画の完全な破綻でした。工期は数年遅延し、建設費は当初の約55億ドルから約73億ドル(約1兆1000億円超)規模へと跳ね上がりました。「政府保証なし」という公約はあっさりと撤回され、インドネシアの国家予算(APBN)が補填に投入される事態に陥ったのです。
苦境に立たされたインドネシア側が、次のフェーズであるスラバヤ延伸計画において日本へ支援要請を持ちかけた際、日本政府およびJR各社はこれを明確に固辞しました。この毅然とした対応が、ネットユーザーの間で「かつて裏切られた日本の痛烈な意趣返し」「自業自得に対する冷徹な報復」として拡散されたのが噂の真相です。