雪道や砂浜に残された猫の足跡を観察すると、4本の足で歩いているにもかかわらず、足跡がほぼ一直線に並んでいることに気付きます。この独特の歩行パターンは「常歩(なみあし)」における「側対歩」と「踏み直し」という高度な歩行技術によって成り立っています。
猫は歩行時、右前足を踏み出した直後に同じ側の右後ろ足を出し、続いて左前足、左後ろ足という順序で前進します。そして最も特徴的なのが、「前足が着地して安全が確認された全く同じ位置に、後足を踏み下ろす」という習性です。前足で障害物や枯れ枝を避けて着地すれば、後足は下を見ずとも音を立てず、罠や危険を踏むことなく安全に前進できます。この無駄のない足跡の軌跡は、野生下で足跡から自らの体格や進行方向を天敵に悟らせないための、優れた生存戦略の名残なのです。