りんご飴の表面を覆う飴は、砂糖と水、水飴などを140〜150度前後まで加熱して水分を極限まで蒸発させた「アモルファス(非晶質ガラス)」と呼ばれる極めて硬く脆い構造体を形成しています。この飴コーティングに対し、刃先を力任せに垂直に押し込むと、刃が当たった一点に応力が集中します。下層にある果肉は適度な弾性と水分を含むため沈み込む一方、柔軟性のないガラス質の飴層は歪みに耐えきれず、放射状の微小亀裂(クラック)が一気に走って粉々に破砕してしまいます。
さらに問題を複雑にするのが、りんごの外皮に存在する天然のロウ成分(果粉・ブルーム)や表面の水分です。飴と果皮の密着強度が不足している個体の場合、包丁の進入角度がわずかにブレただけで剪断応力(ズレる力)が働き、飴のフィルムが果肉から丸ごと剥離してしまいます。つまり、飴割れの根本原因は包丁の切れ味だけでなく、「刃の進入角」と「垂直方向への衝撃速度」のコントロールミスにあるわけです。