イングランド代表が長年抱えてきた最大のジレンマは、「プレミアリーグ年間最優秀選手クラスの才能をどう同時にピッチへ立たせるか」という点でした。特に、クラブで中央を主戦場とする選手が重なる問題は、攻撃の停滞を生む要因とされてきました。
トゥヘル監督はこの問題に対し、明確な役割の階層化によってメスを入れています。
まず、ジュード・ベリンガムをトップ下に固定。彼には単なるパサーではなく、ストライカーのハリー・ケインが中盤に降りてポストワークを行う際、空いた最前線のスペースへ飛び込む「実質的なセカンドストライカー」の役割を与えています。
一方、右サイドのブカヨ・サカにはタッチライン際でのアイソレーション(1対1の状況創出)を指示。右サイドで幅を取ることで相手守備陣を横に広げさせます。そして左サイドのフィル・フォーデンには、左サイドバックの攻め上がりに合わせてハーフスペース(中央とサイドの中間)へ侵入する自由度を付与。これにより、中央でベリンガム、フォーデン、ケインが近距離で絡み合いながら、逆サイドのサカへの大きな展開で仕留めるという立体的なアタックが機能し始めています。