かつて車線逸脱事故といえば、対向車線に飛び出して大型トラックと正面衝突する絶望的なシナリオが常だった。だが、暫定2車線の高速道路を中心に配備が進んだ高張力ワイヤーロープ構造が、その惨劇を物理的に断ち切った。
国交省の最新データによれば、ワイヤーロープ式への換装が完了した区間での対向車線飛び出し事故は、導入前と比較して約85%低減。従来の硬質コンクリート製ガードレールとは異なり、しなやかにたわみながら車両の運動エネルギーを分散・吸収する仕組みが、乗員へのG(加速度)を劇的に和らげている。現場の警察官も「以前なら救急搬送すら間に合わなかったレベルの激突でも、ドライバーが自力でドアを開けて歩き出てくるケースが増えた」と語る。