物語のハイライトであるダンスシーンで着用されたアイコニックな「イエロー・ドレス」には、映画史に残る画期的な衣装革命が隠されています。アカデミー賞受賞衣装デザイナーのジャクリーン・デュラン(Jacqueline Durran)率いるチームが、実に12,000時間以上の手作業を費やし、2,160個のスワロフスキー・クリスタルをあしらって完成させた名作ですが、最大の決定打はエマ・ワトソンによる「コルセットの完全拒否」でした。
従来のディズニープリンセスのドレスといえば、ウエストを細く締め上げるコルセットの着用が通例でした。しかしエマは、自由を愛し、機敏に動き回るベルの身体性を表現するため、あえてコルセットを排除することを強く要求。身体の動きに合わせて軽やかに舞う軽量のシルクオーガンジー生地を採用し、プリンセスが自立して踊り、走り出せる構造を作り上げました。
さらに日常の青い町娘ドレスにおいても、従来のコルセットやパンプスを廃止。作業用のエプロンには工具や本を収納できる大きなポケットを取り付け、靴には頑丈な革の乗馬ブーツを採用するなど、フェミニズムの観点を取り入れた機能美が徹底追求されました。