日本のプロ野球界におけるフリーエージェント制度は、時にファンに歓喜をもたらし、時に深い悲しみを生み出す。特に阪神タイガースから読売ジャイアンツへの移籍となれば、その波紋の大きさは計り知れない。東西のメガクラブ同士による看板選手の争奪戦は、過去の歴史を見ても極めて稀であり、両球団のプライドが真っ向から衝突する戦いとなった。
阪神側も当然、黙って指をくわえていたわけではない。長年チームを支えてきた生え抜きの4番打者に対し、最大限の意意と誠意を示した長期契約を提示。ファンからの熱烈な残留要請の声も後押しとなり、球団幹部は総力を挙げて流出阻止へと動いた。移籍か残留か。一癖も二癖もある代理人交渉の場で、双方の熱量が極限まで高まっていった。