劇的に甘くなる「さわし柿」の秘密!焼酎渋抜きの期間と失敗防止策

劇的に甘くなる「さわし柿」の秘密!焼酎渋抜きの期間と失敗防止策

劇的に甘くなる「さわし柿」の秘密!焼酎渋抜きの期間と失敗防止策の要点や背景を専門的かつ分かりやすくまとめました。全体像を一目で把握できます。

渋柿を口にした瞬間に広がるあの独特の収れん味は、果肉に含まれる水溶性タンニン(カキタンニン・シブオール)が唾液中に溶け出し、舌の表面にあるタンパク質を凝固・変性させることで生じます。人間はこの刺激を「渋み」として感知しています。

ここで重要なのは、渋抜き処理によって果実内の糖分そのものが急増しているわけではないという事実です。もともと渋柿は、甘柿をはるかに凌ぐ糖度16〜20度前後のポテンシャルを秘めています。しかし、水溶性タンニンの強烈な刺激が甘みを完全に覆い隠しているため、そのままでは食べることができません。

焼酎や炭酸ガスを用いて脱渋を行うと、柿の果肉細胞が呼吸を制限され、アセトアルデヒドという物質を生成します。このアセトアルデヒドが水溶性タンニン同士を強固に結びつけ、分子量の大きな高分子化合物へと変える「タンニンの不溶化」を引き起こします。唾液に溶け出さなくなったタンニンは舌を刺激しなくなり、もともと柿が持っていた濃厚な甘みだけがダイレクトに口いっぱいに広がるようになります。

さわし柿に使われる代表的な品種には、種がなく上品な甘みを持つ「平核無(ひらたねなし)」や、その枝変わりで9月下旬から出回る「刀根早生(とねわせ)」があります。いずれも完全渋柿(種が入っても渋が残る性質)の代表格であり、脱渋することで真価を発揮します。なお、地域によって「さわし柿」「合わせ柿」と呼び名が分かれますが、これは「水や酒に浸して渋を抜く(さわす)」という古語や方言に由来しており、本質的な果実や加工法に違いはありません。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。