日本版CDCの創設構想がついに実体を結んだ。長年日本の臨床医療を牽引してきた国立国際医療研究センター(NCGM)と、基礎研究および病原体サーベイランスを担ってきた国立感染症研究所が一つに統合され、国立健康危機管理研究機構(JIHS)として始動したのだ。このメガ再編の背景には、パンデミック初期に見られた政策決定の遅延や、研究と臨床現場のデータ断絶に対する痛烈な反省がある。
「別々のカルチャーを持つ二大巨頭が融合するのだから、摩擦がないと言えば嘘になる。だが、危機は待ってくれない」。厚生労働省の幹部はそう漏らす。国立健康危機管理研究機構設立プロジェクトが水面下で進めてきた制度設計は、危機発生時に即座に権限とリソースを集中させる緊急時即応体制を軸に据える。平時においては高度な臨床研究と疫学データの統合解析を進め、有事には一転して国家の迎撃部隊として機能する二面性。最前線の現場では、両機関の電子カルテシステムや検体バンクの統合に向けた突貫作業が昼夜を問わず続けられている。