インターネット上の掲示板や動画サイトでは、白身魚フライの原材料に関して時折センセーショナルな噂が流布されます。最も代表的なものが「深海に棲む怪物を食べさせられている」「汚染されたドブ川のナマズを漂白している」といった根拠のない都市伝説です。食の安全を守るジャーナリズムの観点から、これらの誤解を論理的・科学的に是正します。
第一に、「深海魚だから危険」という言説は完全な誤りです。ホキやメルルーサが生息する水深数百メートルの水域は、人間の生活排水や海洋汚染物質が届きにくい極めて清浄な深海層です。さらにホキ漁場であるニュージーランドやオーストラリア沖は、世界で最も厳格な海洋管理基準の一つとして知られるMSC(海洋管理協議会)認証を取得しており、持続可能でクリーンな漁業が行われています。外見が深海魚特有の形状をしているからといって、肉質や安全性に問題があるわけではありません。
第二に、バサに対する「不衛生な泥水ナマズ」というイメージも過去の偏見に過ぎません。ベトナムのメコンデルタを中心とする養殖現場では、欧米や日本の極めて厳しい輸入食品検査をクリアするため、ASC(水産養殖管理協議会)認証やHACCP(危害要因分析重要管理点)に基づいた水質管理・飼料管理が徹底されています。地下水やろ過された流水を用いた近代的なファームで養殖され、生け締め直後に急速冷凍されるため、泥臭さの原因となる物質(ジオスミンなど)は徹底的に排除されています。
また、日本の食品表示基準においても、加工食品の原材料名は明確に規定されています。かつてのように曖昧な表記で誤魔化すことは景品表示法上許されておらず、企業は原料原産地や魚種名を正しく管理・開示する責任を負っています。私たちが安価に楽しめる白身魚フライは、「正体不明の怪魚」ではなく「世界の高度な養殖・遠洋漁業技術が生み出した工業的傑作」なのです。