ネットニュースや動画サイトで定期的に拡散されるトピックのひとつに、「冥王星が惑星に復活した!」という噂があります。しかし、冥王星惑星復活の真相を精査すると、学術機関としての公式決定ではなく、一部の研究者コミュニティによる問題提起が尾ひれをつけて拡散されたものであることが判明しています。
この議論の火元となったのは、アメリカ航空宇宙局(NASA)が2006年に打ち上げ、2015年7月に冥王星への歴史的な最接近(フライバイ)を果たした探査機「ニュー・ホライズンズ」の探査データです。同探査の主任研究員であるアラン・スターン博士をはじめとする米国中心の科学者チームは、「現在のIAUの定義は天体力学に偏りすぎており、天体そのものの地質学的特性を無視している」と強く批判しました。
ニュー・ホライズンズが地球へ送信してきた冥王星の姿は、冷たく死んだ氷の塊という従来の予想を根底から覆すものでした。そこには白く輝く巨大なハート型の窒素氷河(トンボー地域)が広がり、高さ3,000メートルを超える水氷の山脈、大気のヘイズ(煙霧)、さらには地下に液体の海(内部海)が存在することを示唆する活発な地質活動が刻まれていたのです。
当時、NASAのジム・ブライデンスタイン長官(当時)がイベントで「個人的には冥王星は惑星だと考えている」と発言したことなどがメディアでセンセーショナルに切り取られ、「冥王星が惑星に返り咲いた」という誤認がネット上に定着しました。しかし、国際天文学連合(IAU)における「惑星の定義」は2026年現在も一切変更されておらず、冥王星の公式なステータスは「準惑星」のまま維持されています。