子供の視力低下を心配する親心から急速に普及したキッズ用ブルーライトカットメガネですが、眼科医療の専門機関は極めて慎重なスタンスをとっています。日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会など眼科関連6団体は、小児のブルーライトカット眼鏡装用に対して「発育への悪影響が懸念され、推奨されない」という明確な共同声明を公表しました。
声明で指摘されている主なリスクは以下の3点です。
- 近視進行のリスク増大:太陽光に含まれるバイオレットライト(波長360〜400nm)や適度なブルーライトは、眼球の奥行き(眼軸長)が異常に伸びるのを抑え、近視の進行を予防する重要な役割を担っています。日中にこれらを遮断することで、近視化を助長する危険性が懸念されています。
- 視覚発達の阻害:乳幼児から学童期にかけては、網膜に適度な光刺激を受け取ることで視覚機能が完成していく大切な時期です。色覚やコントラスト感度の正常な発達を妨げる可能性があります。
- デジタル端末の光量の安全性:液晶画面から発せられるブルーライトの強度は、屋外の自然光と比較して100分の1以下と極めて微弱であり、通常の利用環境で網膜障害を引き起こすレベルには達していません。
多くの保護者が懸念する「画面の光で網膜が痛むのではないか」という不安に対し、専門医の臨床データは「光そのものの強さよりも、長時間の近業(近くを見続ける作業)によるピント調節筋の疲労こそが本質的な問題」であると結論づけています。