プリンを切った断面にボツボツとした無数の穴が開いてしまう現象を「す(巣)が入る」と呼びます。すが立つと舌触りがザラつき、水分が抜けてパサついた食感になってしまいます。この現象を完全に防ぎ、専門店レベルのなめらかさを維持するための理由は3つの科学的アプローチに集約されます。
① 卵液を泡立てず、必ず2回濾す
卵液の中に気泡(空気)が混入していると、加熱時に空気が膨張してそのまま穴として残ってしまいます。混ぜる際はホイッパーをボウルの底から離さずすり混ぜ、泡を立てないことが大切です。さらに茶こしで2回濾すことで、混ざりきらなかった卵白の塊(カラザなど)と細かな気泡を完全に取り除くことができます。
② 加熱温度を80〜85℃にキープする
卵のタンパク質は60℃前後から固まり始め、80℃を超えると完全に凝固します。しかし、加熱温度が沸騰温度の100℃に達すると、タンパク質が急激に収縮して水分を外へ吐き出し、内部で沸騰した気泡が穴となって固定されます。これが「す」の正体です。フライパン蒸しで極弱火を保ち、直火が当たらないよう底に布巾を敷く理由は、湯の温度を常に80〜85℃前後に保つためです。
③ 急冷させず、余熱を味方につける
短時間で火を通そうとせず、加熱の後半は火を止めてフライパン内の蒸気と余熱で中心までじっくり固めます。余熱を利用することで外側と内側の温度差がなくなり、全体が均一でシルキーな組織に仕上がります。