マネージャーであったブライアン・エプスタインの急死という深い喪失感の中、バンドの新たな推進力としてプロジェクトを牽引したのがポール・マッカートニーだった。彼は絵の具と手書きのノートを携え、メンバーや俳優たちを即興のロケ旅へと連れ出した。目的地も明確なストーリーも存在しないバス旅行は、時代の先端を走る若者たちの狂気と純粋なクリエイティビティの激突そのものだった。
ロンドンを疾走するバスの車内では、サイケデリック・ロックの革新的なサウンドと没入感あふれる映像美が交錯した。スタジオ作業に没頭していた当時の彼らにとって、カメラを回しながらの旅は逃避行であり、同時に新しい表現媒体への挑戦だったのだ。