1965年に東京都で生まれた佐藤可士和氏は、成蹊高等学校を経て多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科を1989年に卒業しました。大手広告代理店である博報堂に入社後、伝説的なアートディレクター・大貫卓也氏の背中を追いながら頭角を現します。当時の広告界で異彩を放ったHonda「ステップワゴン」の広告キャンペーンでは、子どもたちの描く無垢なイラストを前面に押し出し、ファミリーカー市場に一大旋風を巻き起こしました。
2000年に博報堂から独立し、クリエイティブスタジオ「SAMURAI」を設立。独立直後に手掛けたアイドルグループ「SMAP」のアルバムプロモーションでは、街中のビルボードやストリート、飲料缶を連動させてメディアそのものをジャックする斬新な手法を導入しました。関係者の証言や当時のインタビューによると、可士和氏は「広告を単なる情報の伝達ではなく、人々の感情を動かすカルチャーイベントへ昇華させる」という確固たる信念を持っていたと振り返っています。
その後、手掛けたプロジェクトは多岐にわたり、まさに日本の消費文化を形作る代表作の数々を生み出していきました。
- ユニクロ(ファーストリテイリング):グローバル旗艦店の空間ディレクション、世界統一ロゴの制定。
- セブン-イレブン・ジャパン:約1,700アイテムに及ぶPB(プライベートブランド)「セブンプレミアム」のリブランディングおよび店舗刷新。
- 楽天グループ:全サービスの求心力を高めるグローバル統一ロゴの策定。
- 今治タオル:衰退の危機にあった伝統産地を「白いタオル」の品質基準一本化で世界的一大ブランドへと再生。
- 国立新美術館:漢字の「新」をモチーフにした先鋭的なシンボルマークと館内サインシステム構築。
- カップヌードルミュージアム:安藤百福の創造的思考を体感させる体験型ミュージアムの総合プロデュース。