静岡浅間神社では、平成26年(2014年)から全26棟の国指定重要文化財を対象とした保存修理事業「令和の大改修」が進められています。総事業費約50億円、工期20年におよぶこの世紀の大プロジェクトは、漆の塗り直しや彩色画の復元、耐震補強を行うもので、2026年現在も熟練の宮大工や伝統漆芸職人による極めて緻密な作業が続けられています。
すでに修復が完了した大歳御子神社や少彦名神社、楼門などでは、かつてのくすんだ木肌から一転し、目も鮮やかな朱漆や金箔、立川流彫刻の立体感が蘇りました。報道各社や神社公式の公開資料によると、江戸時代の職人が使用した天然顔料や技法を厳密に検証・再現しており、ただ新しくするのではなく「200年前の創建当時の威容」を完全に取り戻す試みです。
改修期間中は一部社殿に素屋根(保護用の覆い屋)がかけられていますが、現地では修復工程の一部が見学できる工夫が施されており、今しか見られない文化財修復の現場そのものが貴重な観光資源となっています。新しく塗り直された社殿の鮮烈な輝きと、これから修復を待つ社殿の風格ある経年変化を同時に体感できるのは、この大改修期ならではの贅沢な体験です。